中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、抗悪性腫瘍剤/抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体「テセントリク®点滴静注840mg」[一般名:アテゾリズマブ(遺伝子組換え)]について、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸がんにおける術後補助療法について、成人および小児を対象とした適応拡大の承認申請を、本日、厚生労働省に行いましたのでお知らせいたします。
代表取締役社長 CEOの奥田 修は、「大腸がんは日本で最も罹患者数が多いがん種であり、病理学的Stage IIIでは術後補助化学療法後の再発が未だ課題となっています。ATOMIC試験において、術後補助化学療法の標準治療にテセントリクを併用することにより、再発または死亡リスクの低減が示されました。MSI-Highを有する結腸がん患者さんに新たな治療選択肢をお届けできるよう、承認取得に向けて取り組んでまいります」と語っています。
今回の適応拡大申請は、海外第III相医師主導治験であるATOMIC試験(Alliance A021502)の結果に基づいています1,2。根治切除後の病理学的Stage IIIのDNAミスマッチ修復機能欠損(dMMR)を有する結腸がん患者さんを対象に、術後補助化学療法の標準治療であるmFOLFOX6に、テセントリクを併用することによる有用性を検証しています。dMMRにより、がん細胞にMSI-Highが生じることが知られています。
主要評価項目である無病生存期間(DFS:Disease-Free Survival)において、3年DFS率はテセントリク併用群で86.3%(95%信頼区間:81.8–89.8)、mFOLFOX6療法群で76.2%(95%信頼区間:70.9–80.6)であり、テセントリク併用群は統計学的に有意な延長を示し、再発または死亡リスクの低減が示されました(層別ハザード比:0.50, 95%信頼区間:0.35–0.73, p<0.001)。安全性について、主な有害事象は肝機能障害43.9%、皮膚障害33.8%、甲状腺機能低下症18.8%等、テセントリクの既知のプロファイルと同様であり、新たなシグナルは認められませんでした。
オンコロジー領域のリーディング企業である中外製薬は、革新的な医薬品によりがん治療におけるアンメットメディカルニーズを充足し、患者さんおよび医療関係者に貢献できるよう引き続き取り組んでまいります。
ATOMIC(NCT02912559/Alliance A021502)試験について1,2
ATOMIC試験は、米国National Cancer Institute(NCI)傘下の研究グループであるAllianceにより、根治切除後の病理学的Stage IIIのdMMRを有する結腸がん患者さんを対象に実施された、海外第III相医師主導治験です。術後補助化学療法の標準治療であるmFOLFOX6療法群(6カ月間投与)と、mFOLFOX6とテセントリクを6カ月間投与した後、テセントリク単剤投与を6カ月継続する併用群(計12カ月間投与)の有効性および安全性を検討する非盲検ランダム化試験として実施されています。米国FDAは本試験結果に基づく申請を優先審査(Priority Review)の対象に指定しており、2026年10月9日までに判断される予定です。
DNAミスマッチ修復機能欠損(dMMR※1)または高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High※2)を有する大腸がんについて
大腸がんは、国内において最も罹患者数が多いがん種であり、2023年の年間罹患者数は約15.4万人(結腸がん:約10.2万人、直腸がん:約5.2万人)、2024年の年間死亡者数は約5.4万人(結腸がん:約3.8万人、直腸がん:約1.6万人)と報告されています3。
大腸がんのうち、dMMRを有する症例は、国内で6~7%と報告されています4,5。dMMRはDNA複製時に生じる塩基のミスマッチを修復する機能が低下した状態を指し、結果として高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)が生じることが知られています。dMMRを有する腫瘍の多くはMSI-Highを示し、これらの腫瘍では体細胞変異の蓄積により免疫原性が高くなることから、免疫チェックポイント阻害剤による治療効果が期待されています6,7。一方、これまで大腸がんの術後補助療法における免疫チェックポイント阻害剤のエビデンスは限定的でした。
病理学的Stage III大腸がんに対しては術後補助化学療法が推奨されていますが、治療後も約30%に再発が認められています8,9。また、再発により切除不能な状態に進行した大腸がんの予後は依然として不良であることから、根治切除後の再発リスク低減に寄与する新たな術後補助療法の確立が求められています。
※1 dMMR:mismatch repair deficient
※2 MSI-High:microsatellite instability-high
テセントリクについて10
テセントリクは、腫瘍細胞または腫瘍浸潤免疫細胞に発現するタンパク質であるPD-L1(Programmed Death-Ligand 1)を標的とする免疫チェックポイント阻害剤です。PD-L1は、T細胞の表面上に見られるPD-1、B7.1の双方と結合しT細胞の働きを阻害します。テセントリクはこの結合を阻害しT細胞の抑制状態を解除することで、T細胞による腫瘍細胞への攻撃を促進すると考えられています。国内では、2018年4月に発売し、非小細胞肺がんをはじめとする7つの適応症(進展型小細胞肺がん、乳がん、肝細胞がん、胞巣状軟部肉腫、節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型、胸腺がん)で承認を取得しています。
上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。
出典
以上