猫も杓子もSUV。そんな時代にセダンが静かなる人気を集めている。その中心にいるのが若者世代だ。

Lexus
低く構えたプロポーションと、伸びやかなサイドビュー。重心の低さがもたらす安定した走り。かつてはクルマの基本形だったセダンは、いまや「なんとなく選ぶクルマ」ではなく、自分の感覚で選ぶクルマになりつつある。
いまセダンが新鮮な理由をひも解きつつ、かっこよさと実力を兼ね備えた注目モデルを見ていこう。なお、ここではセダン人気の萌芽がより顕著な米国の若者が注目する、北米市場で流通する実力派モデルも紹介する。
なぜ今、セダンが新鮮に映るのか
Lucid Motors
SUVやクロスオーバーの人気が止まらない。そんな時代にあって、セダンは以前よりも意識的に選ばれているようだ。
米国の自動車登録データを扱うExperianの調査によれば、Z世代やミレニアル世代は、ほかの世代と比べてセダンを選ぶ傾向がやや強いことが示されている。さらに、米調査会社Escalentが米国の14〜19歳、1,054人を対象に行った調査では、将来乗りたい車型として51%がセダンを選んだ。
これは「若者の多くがすでにセダンを買っている」という意味ではないが、セダンを新鮮な選択肢として見る動きがあることは確かだ。SUVで育った世代が次のクルマに違う姿を求める。セダンに向けられる視線には、そうした世代交代の気配もあるだろう。
「SUV時代のセダン」が人気を集めるのはなぜか?かつてクルマの基本形だったセダンは、SUVが日常の標準になったことで、以前よりもスタイルで選ばれる車型となっている。SUV時代のセダンは、かつてのクーペに近い存在になったと言える。
低いプロポーションがもたらす新鮮な驚き
Mercedes-Benz AG
SUVは、見晴らしの良い視界や、乗り降りのしやすさ、荷室の使いやすさなど、日常の移動に求められる要素を分かりやすく満たしている。
一方、現代のセダンの個性は低く構えたプロポーションだ。背の高いクルマが増えた現在の道路では、その低さそのものが、以前よりも意識的な選択に見えるようになった。
低い車高は、単なるデザイン上の特徴ではない。重心の低さは走行時の安定感にもつながり、ドライバーとクルマの距離を近づける。SUVの安心感とは違う、クルマを操っている感覚も好まれているのかもしれない。
実用性とスタイルの両立
BMW
セダンは、4枚のドアと独立した荷室を持ち、移動の道具としてきちんと使える。そのうえで、低く伸びやかなシルエットによって、見た目の魅力も打ち出せる。
もちろん、広さや積載性だけで比較すれば、SUVやミニバンに分があるだろう。だからこそ、現在のセダンには見た瞬間に選ぶ理由が伝わるデザインが求められるようになった。
スポーティなディテールや、フォーマルな場にも映える落ち着き、少しだけ非日常を感じさせる雰囲気。実用性の中にスタイルを持ち込めることが、いまのセダンに求められるかっこよさと言えるだろう。
いま注目のカッコいいセダンここからは、いま注目したいセダンを紹介する。王道セダンに加え、4ドアクーペや電動スポーツサルーンまで。4ドアモデルの魅力を見ていく。
メルセデス・ベンツ CLA
Mercedes-Benz AG
2025年に登場した現行型CLAは、セダンとクーペの境界にあるモデル。低くなだらかに流れるルーフラインとコンパクトなボディが、軽やかで、若々しい印象を作っている。
さらに、安全面でも評価は高い。欧州の自動車安全評価「Euro NCAP」では最高評価の5つ星を獲得。2025年に評価されたすべてのモデルのなかで「Best Performer」にも選ばれた。
48Vマイルドハイブリッドに加え、BEVも展開。見た目のよさだけでなく、安全性能や電動化の面でも、新世代のメルセデスらしさを印象づけている。日本へは2026年夏に導入予定だ。

Lexus
2026年にフルモデルチェンジした、レクサス ES。これまでは快適性を重視した上級セダンとして支持されてきたが、新型はその穏やかさ、上質さを受け継ぎながら、デザインと電動化の両面で大きく更新されている。
パワートレインはハイブリッドに加えてBEVも設定され、レクサスの電動化時代を担うセダンとしての性格が強まった。エクステリアは、より未来的でクリーンな姿に。静けさと端正さを現代的に磨いたところに、ESならではの魅力がある。

Porsche
ポルシェ タイカンは、電動スポーツサルーンの可能性を大きく広げたモデルだ。低く構えたボディ、短いノーズ、引き締まったリアまわりには、4ドアでありながらスポーツカーの緊張感がある。
2025年モデルでは、充電性能や航続距離、出力などが大きく改良された。800Vの急速充電では最大320kWに対応し、10%から80%まで最速18分で充電できる。EVとしての実用性を高めながら、ポルシェ独自のシャシー技術によって、電動化時代のスポーツカーらしい走りも追求している。

General Motors
キャデラック CT5は、日本に正規輸入されている貴重なアメリカン・スポーツセダンだ。エクステリアは、キャデラック独自のデザイン言語に則ったもの。縦方向を強調したライトや、低くワイドに構えたプロポーションは、他のどのクルマにも似ていない。
2026年に日本でも改良型が導入され、グレードは「スポーツ」に絞られた。車内には33インチLEDタッチスクリーンディスプレイを備え、先進的なインターフェースも見どころとなっている。

Audi
A6は、アウディの中核を担ってきた正統派のプレミアムセダンだ。2026年に日本でも発売された最新型では、静かな存在感がさらに磨かれている。
なだらかに流れるルーフラインや滑らかなサイドビューは、見た目の美しさだけでなく、空力まで含めて整えられたもの。あくまでセダンの王道でありながら、古く見えないことも、A6の魅力といえるだろう。

BMW
BMWの基幹車種である3シリーズを、電気自動車としてゼロから設計し直した「i3 セダン」。新世代プラットフォーム「ノイエ・クラッセ」を使用し、2026年3月18日にワールドプレミアを迎えた。
ロングホイールベースと短いオーバーハング、薄いヘッドライト、シンプルな面構成によって、3シリーズらしいスポーティな佇まいを描き直している。新しい時代のスポーツセダンの答えの一つとして、今後が注目される一台だ。

Honda
低く伸びるシルエットと水平基調のフロントまわりによって、落ち着いた印象にまとめられているアコード。全長5mに迫る伸びやかなプロポーションと、すっきりした大人っぽさが持ち味だ。
パワーユニットは、アクセルを踏み込んだときのレスポンスやエンジンサウンドのつながりも重視した「SPORTS e:HEV」を選択。気負わず乗れて、走りも楽しめる上級セダンとして、アコードには独自の説得力がある。

Tesla
2024年の大幅改良で、エクステリアデザインが大きく見直されたモデル3。薄いヘッドライトと滑らかな面構成により、以前よりもかなりスタイリッシュな印象になった。
改良では、テスラらしいシンプルな室内、低い重心、EVならではの加速感はそのままに、静粛性や快適性も高められた。2017年からのロングセラーだが、米国で最も売れているBEVセダンとして、まだまだ存在感を示しそうだ。

Hyundai
手が届く本気のスポーツセダンとして、米国市場で存在感を放っているエラントラ N。低く構えたフロントと、専用エアロ、赤いアクセントを効かせたディテールなど、明快なスポーティーさが持ち味だ。
「N」はヒョンデの高性能ブランドの証。8速DCTに加え、6速MTが用意されることも、クルマ好きから注目される理由だ。日本へは正規輸入されていないが、走りへの熱を残した4ドアセダンとして押さえておきたい存在といえる。

Stellantis
現代では貴重なアメリカンマッスルカーとして、日本でも代々人気を集めてきたチャージャー。2024年に登場した新世代モデルも、チャージャーならではの魅力を放っている。
パワートレインは、BEVの「Daytona」からスタートし、3.0リッター直列6気筒ツインターボの「SIXPACK」も用意された。V8OHVエンジンは用意されていないが、その走りは強烈そのもの。きれいにまとまったセダンでは物足りない人に似合うクルマだ。

Lucid Motors
ルシードモータースが手がける「エア」は、EVセダンの現在地を考えるうえで外しにくいモデルだ。日本には導入されていないが、その個性は際立っている。
滑らかなボディ、低いルーフ、長く伸びたキャビンは、空力を意識した現代の高級EVらしい佇まい。上級グレードでは約512マイル(約824km)という長い航続距離と、0-60mph(0-96km/h)加速3.0秒という加速力を備え、スポーツカーの領域に踏み込んでいる。
セダンを選ぶときは、見た目の印象だけでなく、インテリアの質感や日常での扱いやすさまで見ておきたい。確認したいポイントを整理しよう。
エクステリアデザインが印象を決める
Tesla
現代のセダンには、キャビンとトランクがはっきり分かれた端正な3ボックスもあれば、クーペのようになだらかなルーフラインを持つモデルもある。
前者は、実用性とのバランスも良く、フォーマルで落ち着いた印象になりやすい。後者は、よりスポーティで現代的な印象だが、後席の頭上空間や乗り降りのしやすさと引き換えになることがある。
低く伸びやかなシルエットは魅力的だが、日常的に後席を使うなら、室内空間や乗降性も見ておきたい。自分の使い方に合うかどうかを確認することが大切になる。
インテリアの質感と静粛性が満足度を左右する
Audi
セダンの満足度は、エクステリアだけでは決まらない。インテリアの質感や、走り出したときの静けさも、長く付き合ううえで大切な要素になるだろう。
シートの座り心地、ステアリングやスイッチ類の手触り、ドアを閉めたときの音、荒れた路面を走ったときの振動の収め方。そうした細部に、そのクルマの個性が表れやすい。
高級セダンなら、移動時間をどれだけ快適なものにしてくれるかも見ておきたい。運転席だけでなく、助手席や後席の快適性も確認することで、快適性に対する解像度が上がるはずだ。
日常で扱いやすいことも大切になる
BMW
日常で扱いやすいことも大切だ。街中で持て余さないサイズか、駐車しやすいか、長距離移動で疲れにくいか。また、荷室の開口部のサイズや形状、燃費や維持費の面で無理がないかといった点も忘れずチェックしたい。
美しいだけで、日常の移動にストレスが多いクルマでは長く付き合いにくい。反対に、便利なだけで気持ちが動かないクルマも、セダンを選ぶ意味が薄い。その両方に納得できることが、セダン選びでは大切になるはずだ。
最後にまとめかつて自家用車の主役だったセダンは、より広さや使い勝手に優れたSUVに置き換わった。
それでもセダンには、クルマをただの移動手段で終わらせない余白がある。運転席に収まったときの視線の低さや、主張しすぎない品のよさといった小さな感覚が、今、あえてセダンを選ぶ理由になっているのかもしれない。
SUVが日常の中心になった時代だからこそ、セダンを選ぶことに意味が宿る。何に乗るかではなく、クルマに何を求めるか。その問いに対する一つの答えとして、今もセダンは魅力的な選択肢であり続ける。
【出典】
In a World of Larger Vehicles, Sedans Hold Steady|Experian
Teenagers Are Looking Forward to Vehicle Ownership—But Are Automakers Ready for Teens’ Preferences?|Escalent
| # | Наименование новости | Тональность | Информативность | Дата публикации |
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